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ポイント講義

知財特論

著者浅野 勝美
本体価格3990円
判型・頁数B5版・332頁
発行日2002年12月6日
発行所有限会社 アポ出版部


■ 目次

第1回 制度のしくみと保護の対象
 第1 知的財産権の種類と保護の体系
 第2 各制度の目的
 第3 発明とは(特許法の保護対象)
第2回 特許要件
 第1 特許要件
 第2 ビジネスモデル特許
第3回 特許権の取得
 第1 基本原則
 第2 特許出願
 第3 取得手続
 第4 審判制度
 第5 特殊な出願
第4回 明細書
 第1 明細書の意義、機能
 第2 明細書の作成
 第3 明細書の補正
第5回 特許を受ける権利、職務発明、共同発明
 第1 特許を受ける権利
 第2 職務発明
 第3 共同発明
第6回 特許権
 第1 特許権
 第2 実施権
第7回 実施契約と実施権
 第1 実施契約
 第2 実施権
第8回 特許権侵害と救済
 第1 特許権侵害
 第2 侵害被疑者の対応
第9回 クレーム解釈
 第1 クレーム解釈
 第2 クレーム解釈の実例
第10回 特許調査と特許管理
 第1 特許調査
 第2 特許管理
第11回 商標と商標権
 第1 商標
 第2 商標権
 第3 商標の同一、類似、非類似
 第4 周知商標の保護
第12回 商標権の取得と商標調査
 第1 出願手続のポイント
 第2 中間手続のポイント
 第3 他の手続のポイント
 第4 商標調査
第13回 実用新案及び意匠
 第1 実用新案
 第2 意匠
第14回 他の知的財産権及び弁理士
 第1 著作権
 第2 不正競争防止法により保護される不正競争行為
 第3 その他の知的財産権
 第4 弁理士
第15回 外国特許
 第1 序
 第2 パリ条約
 第3 PCT条約
 第4 マドリッドプロトコル
付録 産業財産権101の常識
 第1 基礎編
 第2 応用編

■ はじめに

  本書は都立科学技術大学大学院の知的財産法特論の教科書として執筆した。
  知的財産法に関する教科書には優れたものが多いが、学者の手になるものが多いため、実務的に重要な部分の説明が欠落していたり不足している場合がある。又、初学の者には判り難く感ずることが多い。このようなことから、特許庁企画「工業所有権標準テキスト」が出版された。これは特許編、商標編、意匠編及び流通編からなり、私も策定普及委員の1人として参与し、大学院の講義でも使用してみた。しかしながら、元来が職業高校向けに編集されたものであるため、内容的に大学院の講義用テキストとして不足するところがある。このため私は適宜プリントを配布して補ってきたが、これも煩雑であった。
  本書はこのような背景から執筆したものであるため、次のような特色をもっている。
  1. 知的財産法を網羅的に解説するのではなく、実務的に重要なポイントを取り上げ解説した。これは、講義回数15回という制約があるためである。読者は本書と他の教科書とを比較することにより、何が重要であるか分別することができると思う。
  2. 取り上げたポイントに関しては、体系化を図った。これにより、読者は知的財産法を概観することができる。
  3. 解説にはすべて根拠を明示した。本書の読者は技術系であるため法的思考には不慣れな者が多い。そのような読者が難解と言われる特許法等を短時日のうちに理解するには、単純明快な原理原則を示す方がよい。本書の記述はすべてこの方針に従がっている。
  4. 実例及び設例を設けることにより、理論を活写乃至活用するように努めた。知的財産法はビジネスの世界で用いられるものである。よってケーススタディがより重要である。読者の多くがビジネス人志望であるため、これに対応できるようにした。
  5. 読者から弁理士志望者が現われることも考慮し、一部の回例えば第2回、第8回等では、弁理士論文試験にも対応できるよう記述を工夫した。弁理士志望者は他の問題をまとめるに当たって参考にすることができる。
  6. 例えば第9回、第12回、第13回等では、専門紙掲載の論文を用い、専門家の視点と同一の視点から知的財産法を見ることができるよう工夫した。
  7. 最後に「産業財産権101の常識」と名付けた練習問題を揚げた読者はこれを全問正解し常識とするようにして社会に巣立っていってほしい。
  本書は弁理士一筋の実務家として生きてきた私が、21世紀を担う若人へ贈る細やかな一書である。本書により知的財産法に関心を向け、弱体化しつつある日本経済の立て直しを図ることができる人材が生まれれば望外の幸せである。
  本書は実務を行ないながら限られた時間の中で執筆したため、不十分なところもあると思うが、それは他日に補充したい。
  終りに、本書の出版にお力添えをいただいた(有)アポ及び浅野特許事務所の皆様に心からお礼を申し上げる。

2002年10月20日
日野・勝雲堂にて   
 浅 野 勝 美





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