2.継続的使用権=出願しない場合
継続的使用権は、乙が同一サービスマークについて登録を受けたとしても、甲は自ら出願・登録しないでも、その使用してきたサービスマークを引き続き使用することができる権利である。
(1)対象となる者
@既使用者
継続的使用権を主張できる者は、当然のことながら、当該サービスマークを既に使用していた者であり、使用していない者又は使用予定者は含まれない。
既使用者の範囲は、下図の通りである。【図表省略】
A不正使用でない者
既使用であっても、他人の有名商標への只乗り等、「不正競争の目的」で使用した者は対象でない。
B承継人
継続的使用権者より「当該業務を承継した者」も継続的使用権が認められる。
(2)使用権の範囲
継続的使用権が認められる範囲は「現にその商標の使用をしてその役務に係る業務を行なっている範囲内」、すなわち同一サービス、同一マーク、同一地域に限られる。類似範囲、別地域には及ばないのである。
したがって、将来、マークを変更したり、業務を拡張したり、使用地域を拡大した場合には、当該サービスマークを使用した営業活動はできないことになる。
(3)混同防止表示
継続的使用権は商標権との間にサービス、商品の出所の混同を生ぜしめるような事態となった場合には、商標権者又は専用使用者の請求により混同防止のための表示を付することになる。
(4)差止請求について
継続的使用権は前述のように単に抗弁権であるから、この権利をもって抵触する他人のサービスマークの使用を差し止めることはできない。
(5)どこで主張し、誰が認めるのか
継続的使用権は抗弁権であるから、侵害訴訟手続において、法廷の場でこれを主張することになり、この権利の有無を認めるのは裁判官である。
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